「魔法の箱」 それが最初に見た感想だった。 しかし実際に使ってみると 意外にもそれに似たものは身近にあった 第二話 接触 ―contact― 高校に入学したとき、入学祝いとして私の部屋にパソコンがやってきた。 機種はよく覚えていないが、 確か「PC-9801」から「PC-9821」の変遷期のモデルで 「PC-9821」とつく一番最初のものだったと思う。 パソコンショップの特売品で「最新型だから」という店員の勧めもあったと思う。 まだパソコンを「魔法の箱」と思っていた純真な私は 対応するゲームソフトの多さからそれを選んだ。 部屋に運んで組み立てようと思って説明書を見たがさっぱりわからなかった。 そこには日本語とも英語ともいえない奇妙な文字列が並んでいたからである。 俗に言う「コンピュータ用語」というやつである。 キーボード?マウス?ディスプレイ?何故にマイクまでついているんだ? とりあえず穴の形が同じところから差し込んでいけば何とかなるだろう、と思い どうにか組み立ても完了した。 そして電源を入れようと思いスイッチらしきボタンを押した。 ・・・が、何の反応もない。 連続して押してみたがやはり結果は同じだった。 不審に思いもう一度パソコンを調べてみると、もうひとつ似たようなボタンがあった。 そのボタンを押すとパソコンが動き出した。 どうやら「電源」とまちがえて「リセットボタン」を押していたようである。 しばらくすると英語ばかりの画面が出てきた。 さっぱりわからないから電源を切った。 人から聞いた話ではパソコンではゲームもできる、という話だったが 電源を入れてもさっぱりわけがわからない。 何が足りないのだろうか・・・ それにしても・・・電源、リセット・・・何かに似ている・・・ あ! ファミコンのディスクシステムと同じじゃないか!! 一緒に買ってきたゲームのディスク(フロッピーディスク)を入れればいいのか! こうして自分の中で「パソコンとはゲーム機の一種である」という誤った位置付けがなされ、 数年の間パソコンをゲーム専用機として使うことになる。 つづく
次回予告 パソコンの魅力(と言ってもゲームのみだけど)にはまり、同じ趣味の友達もできる! そこで耳にした驚愕の真実とは!? 何とか続編を書くことができたけど、どこまで続くのか!? 作者自身も先の展開が読めない 第三話「拡張 ―enhance―」! 暖かい日は縁側でお茶をすすりながら待て!!