きっかけは些細なことだった。 だが、そこに行き着くまでの道のりが長いということを このときは知る由もなかった・・・ 第三話 拡張 ―enhance―(前編) 私は悩んでいた。 これまでまっとうな人生を歩んできた自分がこんなところに足を踏み入れてもいいのか、と・・・ パソコンショップの棚の前で私は硬直していた。 そこまでに至る経緯を少し時間をさかのぼって見ることにしよう。 〜数日前・昼休み〜 昼食をとり終えた後私はいつもの場所へと向かっていた。 そしていつものように友人たちとゲームの話に興じていた。 ただ、いつもと違ったところがあるとすれば友人のこの一言だろうか 「君は戦略シミュレーション以外のゲームはやらないのか?」 確かにそのころ私がよく遊んでいたゲームといえば 人並みにRPGとか流行のゲームをやったり、ゲームセンターに通って対戦格闘ゲームに興じることもあったが ほとんどは「信○の野望」・「○国志」シリーズや「大戦○」などシミュレーションゲームばかりだった。 考え込んで沈黙を守っていた私の態度を見てその友人は図星であることを見抜き おすすめのゲームの話をした。そして私にも遊んでみるように勧めてきたのである。 〜現在・パソコンショップ内〜 ・・・そして現在に至るわけである。 友人がすすめてきたのは「○リンセス○ーカー2」、俗に言う「ギャルゲー」である。 今は同種のゲームが世にあふれ一つの分野を形成し、中にはアニメ化されるものもあるほどの市民権を得ているが この当時そんなことはあるはずもなかった。 「はじめてえっちな本を買う少年が本棚の前で買うべきかどうか迷っている」 このときの心情を表現するとすればそれに近いものがあったと思う。 このときのレジまでの道のりの長さは今でも忘れられない。 そして自宅に帰ってゲームをやってみたのだが、気がつけばすっかり夢中になっていた。 しかし難点を言えばフロッピーディスクの枚数が多いため、その入れ替えが面倒なことだろうか。 そのことをゲームをすすめてきた友人に話したところ 未知の分野に挑んだ私の英断をたたえ、同じ趣味の仲間ができたことを喜ぶとともに その問題点の解決策として「ハードディスク」の導入をすすめてきた。 つづく
次回予告 ついにハードディスクを目の当たりにする! しかしそこには大きな問題点が立ちはだかっていた!! ってゆーか間が2ヶ月近く開いてしまったが読んでいる人はいるのか!? ついに本編初の前後編構成となった 第四話「拡張 ―enhance―(後編)」! とりあえず待て!!