ハードディスク。 それの持つ圧倒的な専門用語の数々に かつてない恐怖を味わった・・・ 第四話 拡張 ―enhance―(後編) 「ハードディスクってパソコンの外につけるやつ?」 「ああ、その通り。あれなら容量も大きいからフロッピーを入れ替える手間も省けるだろう。 どーせフロッピーの容量なんて1MB(メガバイト)くらいなんだから、 それが何十枚集まったところで一つのハードディスクの容量には及ばないよ。」 今でこそパソコンを購入すると最初から数G(ギガ)単位で内蔵型のハードディスクがついてくるが、 この当時はパソコンに最初からハードディスクがついてくることなどなく、自分で追加するのが当たり前だった。 しかも内蔵型はまだ珍しく、外付けのほうが一般的で、 容量のほうも数100MBくらいしかなかった。 そして再び私は悩んでいた。 友人のすすめにしたがって「ハードディスク」を購入しようと思いその下調べに来たのだが、 値段が高いことはわかっていた。 大きくて場所をとることもわかっていた。 しかし何よりも困ったのは専門用語の羅列だった。 「対応機種」「SCSI対応」など見たことのない言葉の羅列が箱の表面に びっしりと書き込まれていた。 店員に説明を求めたが、その説明の中にもまた「フォーマット」「MS−DOS」など 未知の用語がたくさん出てきたため、やはり理解するまでには及ばなかった・・・ もはやかつてない敗北感と挫折感を味わいながらその場を立ち去ることしか私にはできなかった・・・ 私はハードディスクの何を知っていただろうか? 何も知らず、実物を見たことすら無く ただやみくもに向かって行っただけ。 予備知識も何も無い。 自分の力を過信して、「買ってしまえば何とかなる」と思っていた・・・ パソコンが少しできるようになったとは言え、まだ初心者の域を出ていない、 そんな当たり前のことすら気がつかなかった・・・ つづく
次回予告 ハードディスクの持つ専門用語に圧倒され自信とプライドは完全に葬り去られた! しかしハードディスクを克服しない限り先には進めない!! それにしてもいつになったらハードディスクを購入するんだろうか!? 師範の過去を暴く問題作「師範日記」 第五話「克服 ―conquest―」! なんとなく待て!!